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  • 空への手紙

    令和七年六月十二日

    記録者 権田奏太

    ”以下の内容は、間違いなく真実といえない。少なくとも記録者はこれを真実だと確信していない。”


    郵便受けに   挟まれた

    白い便せん   封を解く

    今のあなたは  どこですか

    遠く離れて   いるけれど

    同じ空を    見てますか

    たまに私は   空を見ず

    花や風にも   目もくれず

    余裕のない日も あるけれど

    見上げる空は  いつも広い

  • 螺旋の階段

    令和七年六月十一日

    記録者 権田奏太

    ”以下の内容は、間違いなく真実といえない。少なくとも記録者はこれを真実だと確信していない。”


    黒い渦 振り回されて 踊るのみ

    流木掴み     上に乗り

    重さで回り    また落ちる

    再び溺れ     ままならぬ

    何度繰り返したのだろう

    何度繰り返すのだろう

    何周目かの    再演日

    受け容れ気付く  筋書きの

    言葉の余白    書き込めば

    言葉の意味が   書き換わる

    いつから黒い   渦なのか

    閉じてた眼を開け 見てみると

    埋め込まれた杭  建つための

    光へ向かう    螺旋の階段

  • Hello, world.

    令和七年二月二日

    記録者 権田奏太

    ”記録者は、以下の内容を真実だと確信していない。”


    Hello, world.

    神様にでもなったつもりで「光あれ」と唱えてみると、 未だあらゆるものが離れることなく混ざり合っているのを観た。

    ……


    光あれ すると今度は、「バチッ」と一瞬だけ音と光が生まれた。

    ……

    光あれ、あり続けたまえ

    すると今度は、「バチッ」という光の声だけでなく、

    一本の光る線が生まれた。

    光の線は、周囲の黒を吸っているように見えた。

    光の線はやがて、両端は線のままであり続け、中心にかけて曲線を描きながら膨らんでいった。

    光は、二つの弓を線対称に合わせたような形になった。

    周囲の黒は、大きくなった光を呑み込むために、

    光を囲い込んでから一気に消そうと試みた。

    しかし、光は黒をことごとく吸い込んでしまった。

    次に黒は、光の中に入り込んで、光の内側から黒くすることを試みた。

    その時、黒は今までの形では入り込めなかったので、黒い線になって素早く、えぐるように光の中に入り込んだ。

    黒は線になったことで、光の大きさに曝された。

  • 岩肌

    令和七年六月十日

    記録者 権田奏太

    ”以下の内容は、間違いなく真実といえない。少なくとも記録者はこれを真実だと確信していない。”


    岩肌に 根を張る木々が からみ合う

    空飛ぶ種が  地に宿り

    幹になるまで 気が付かず

    心の地下水  吸われては

    肩の荷増えて 乾く土

    砂鉄を運ぶ  篩には

    水の流れる  岩と土

    滑って転んで すりむけた傷

  • 焦り

    令和七年六月九日

    記録者 権田奏太

    ”以下の内容、間違いなく真実といえない。少なくとも記録者これを真実だと確信していない。”



    色は匂へど  湧き出づる

    靈(たま)の泉に   恋ひ慕う

    濁りはあれど 鏡には

    花は映らず  白い人

    日の光 想ひ認め(したため) 矢文うつ

    一の矢越えて  月巡る

    二の矢放ちて  日が暮れる

    返りの矢が来て 浮かれては

    ただちに三の矢 手が狂ふ

    脇見のすきに  傷負はす

    愚かさ憂ひ   筆止まる

    藥(くすり)とともに   参らんと

    戸を叩く手を  引き止める

    見舞ひの品を  探しに向かふ

  • 森の夢

    令和七年六月八日

    記録者 権田奏太

    ”以下の内容は、間違いなく真実といえない。少なくとも記録者はこれを真実だと確信していない。”


    森の中 切り株並ぶ 四人がけ

    独りくつろぐ   曇り空

    足音二人     静かなる

    かむろの双子   交じる目線

    ひめかひこかと  尋ねれば

    お好きな様にと  託されり

    うつくしさまに  色おぼえ

    我を忘れて    歩み寄る

    いつから居たのか 目の端に

    たたずむ四人目  白い人

    浅き夢見る    旅の途(みち)にて

  • 鴉の声

    令和七年六月七日

    記録者:権田奏太

    ”以下内容は、間違いなく真実といえない。少なくとも記録者は、これを真実だと確信していない。”


    灰色に 照らす七色 夜化粧

    ほこりを闇に 隠しては

    もろさを覆う かぶきもの

    さまよう者と 睨む者

    買っては払い せわしなく

    苦しみながら 夢を見る

    眠らぬ街に  朝が来た

    今日も一日  掃除から

    あやかしの 手をとり踊る 泣き笑い

    いつか離れる  宿の床

    愛でては撫でる 月のみぞ

    つゆはしるすじ ゆびのふち

    去ろうと思へど 濡れた羽根

    別れ告げども  袖を引く

    夜明けの空に

    鴉の声を聞いた

  • 洞穴

    令和七年五月二十五日

    記録者 権田奏太

    以下の内容は、間違いなく真実といえない。少なくとも記録者は、これを真実だと確信していない。


    ”洞穴の

    ここは入り口  吹く風に

    揺れる松明   今消えた

    ランプはあるか 見つからない

    その時、穴に  戻る風

    落ちてくように  引きずり込まれた

    あおる強風  たたら踏み

    つのる恐怖  はばからず

    鬼束屏風   あらわれて

    はだけた情婦 まなざしの

    注いだ手水  はかまおび

    色は匂へど  いわくらに

    こけむす操  かたむすび

    畔道の 月に吹かれる 土ぼこり

    夏を焦がれる 幼なき蝉よ”